Instagramで紹介されていて、ぜひ読みたいと思って借りた本。
著者は、写真家である奥山淳志さん。
当時25歳の奥山さんが、他者の人生にカメラを向けることで、「生きること」に近づけるのではないかと思っていた時に出会ったのが、北海道で自給自足をしながら絵を描いていた当時78歳の井上弁造さんでした。
そんな弁造さんと絶妙な距離感で過ごした14年の日々を綴った心揺さぶる写文集です。
読み始めると・・・
まるで自分がそこにいるかのような錯覚を起こし、その場に佇みたくなり、一篇読むごとに深い余韻に浸って、なかなか読み進めませんでした。
なので・・・
借出期間を延長しても読み終えることができず、一旦返却して、また借り直すの繰り返しをして、やっと読了。
2012年に92歳で逝った弁造さん。
本書で拝見する穏やかなお顔からは想像できないいろんな苦難を乗り越え、がむしゃらに経済発展をし続けた戦後の日本社会に疑問符を投げかけるかたちで、自給自足の生活を営んでいた弁造さん。
完成しないエスキース(下絵)ばかりを最期まで執拗に描き続けた弁造さん。
お会いしたかったなぁ。
今では、弁造さんの家も庭も自然に還ってしまいましたが・・・
奥山さんは、弁造さんが存在したという証でもある遺されたエスキースと共にずっと暮らしています。
でも、奥山さんはご自分が亡くなった後のことを危惧するようになり、手放すことを決心されました。
いろんな方が、弁造さんが遺したエスキースを大切に思って暮らしのなかに迎え入れてくれることを願って・・・
只今全国巡回中の展覧会(写真集『BENZO ESQUISSES 1920~2012』の出版記念)で、弁造さんが描いたエスキースの原画も併せて展示・販売されることを決められたそうです。
残念ながら、関西は予定に入っていませんが・・・
行きたいな~
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